大手企業とベンチャー企業、クリエイターならどちらがいいの?企業規模とデザイナーの働きやすさについて解説します
最近では人手不足が問題になっているだけあって、以前よりも就職や転職が比較的しやすくなってきています。スキルやポテンシャルのあるデザイナーの方であれば、複数の企業から内定をもらってしまい、どの企業に入社しようかと悩んでいるという方もいるのではないでしょうか。転職に対して軸を持って企業を選んでいても、やはり自分を採用したいという企業の気持ちには心が揺らぐものです。
企業の事業内容や、面接に立ち会ってくれた先輩・上司の印象など、転職先を選ぶには様々な要素が複雑に絡み合ってくるものですが、意外にも「企業規模」という要素に焦点を当てて入社する企業をチェックしている人は少ないのではないでしょうか。かくいう私自身も、企業選びの項目として企業規模を気にした経験はあまりありません。ですが、実際に様々な規模の組織で働いてきた中で、企業規模によって任される業務内容や求められる働き方には違いが出てくるということに気がつきました。もちろん、その企業の良さは単純な従業員数だけで測れるものではありませんが、これから転職活動を行うデザイナーの方が、目先のメリットに影響されて後悔しないためにも、それぞれの企業規模による求められる働き方の違いは、あらかじめ知っておいて損のない知識だと考えています。
本記事では、私がこれまでの経験から感じた、企業規模によるデザイナーの働きやすさの違いについてご紹介します。自分の価値観やモチベーションと照らし合わせて、入社先に迷った時の一つの指標にしてくださいね。
この記事はこんな方におすすめ
- いくつかの企業から内定をもらったけれど、入社先に迷っている
- 転職活動の軸にするべき価値観を決めかねているので、参考になるような情報が欲しい
- 転職で後悔はしたくないけど、入社してみないと実際の働き方が分からない。事前に注意しておくことがあれば知っておきたい。
目次
- 複数の企業から内定をもらったら、条件だけでなく企業の規模もチェックしておきたい
- 企業規模によってデザイナーの働き方は変わるの?
- 企業規模による働き方や業務内容の違いと、注意しておいた方がいいこと
- まとめ:自分の仕事のスタイルにあった企業を選ぶために、転職活動時にはきちんと企業規模をチェックしよう
複数の企業から内定をもらったら、条件だけでなく企業の規模もチェックしておきたい
以前と比べて、最近は転職活動において売り手市場の傾向が強くなってきており、多くの業界で人手不足や働き手不足と言われていますよね。そんな中、就職活動や転職活動を始めてみたら、複数の企業から内定をもらってしまい、どうしようか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
もちろん、最初から「入社したい」と思っている企業からオファーを受けているのであれば悩む必要はありませんが、そうではない場合、転職活動を続けるかどうかも含めて、出来るだけ早く判断を下さなければなりません。自分の中で譲ることのできない明確な判断基準があるならば比較検討をしやすいですが、全ての項目が100点満点と思える企業に出会うことがなかなか難しいというのも現実です。また、入社前には重要視していなかったような、思わぬ項目が原因で入社した企業に後悔を感じてしまうことも。入社する企業を決める時には、出来るだけその企業の様々な部分を、多角的にチェックしておきたいものですよね。
一般的に転職先を決めるときには、業務時間や業務内容、会社の雰囲気や給与などを重視する人が多いと思いますが、その中でも「業務内容」や「会社の雰囲気」などは、実際に入社してみるまでなかなか分かりにくい部分なので、入社前に把握するのは難しい内容です。ですが、その企業の規模をチェックしておくことで、事前にある程度、自分が働いているときのイメージを持つこともできます。
「自分は大きな会社でも小さな会社でも特にこだわりがないので、あまり関係ないんじゃないの?」と思う方も多いかもしれません。一見細かいこだわりのように見える企業規模のチェックですが、意外にも大切な部分です。というのも、規模の大きな企業と少数精鋭のベンチャー企業では、業務内容に差が出てくるだけではなく、働きやすさや企業の雰囲気にも違いが出てくるからです。
例えば、小規模な組織であればマニュアルや規則が整っていないことが多く、仕事の進め方を自分で考えなければいけませんが、その分フットワーク軽く自分のやり方で業務を進めていくことができます。大企業であれば、規則類がきちんと決まっていて、社員の管理や働き方の向上に力を入れているところが多いですが、決まった仕事のやり方や稟議などの通りづらさが堅苦しいと思うかもしれません。
これらはあくまで一例ですが、企業や組織の規模によって、自分にとっての働きやすさや仕事のしやすさは変わってくるところがあるのです。
企業規模によってデザイナーの働き方は変わるの?
「企業規模によって働き方や仕事のやりやすさに差が出る」というのは前述した通りですが、「デザイナーなどのクリエイティブ職をやるのであれば、業務内容はある程度決まっているのだから、組織の大きさはあまり関係ないのではないか?」と思う方も多いかと思います。確かに、デザイナーのような技術職は第一にまず高い技術を求められることが普通ですので、会社が違うからといって自分のスキルと全く違う仕事を任せられるということは少ないでしょう。
ですが、デザイナーであっても、やはり企業規模によって任せられる業務には違いがありますし、求められる仕事のスタイルや価値観は変わってきます。
私自身、ベンチャーや大きな企業まで、様々な規模の会社で社員として働いてきた経験があり、もちろん転職に失敗したと感じることや入社先の企業に後悔したことがあります。当然、この後悔の原因が全て企業規模にあるというわけではありませんが、「あらかじめ企業の規模をきちんと確認していたらこんな後悔はしなくて済んだのに」と思ったこともあります。
デザイナーだからといって企業の規模による価値観の違いを軽視せず、悔やむことのない転職を成功させるために、次の項では、私が実際に経験した、小規模企業・大企業それぞれの仕事に求められる価値観の違いや、気をつけておいたほうがいいと感じたことを具体的にご紹介していきます。
企業規模による働き方や業務内容の違いと、注意しておいた方がいいこと
ここまでの説明で、デザイナーにとっても入社する企業の規模のチェックを軽視してはいけないということについてはご理解いただけたと思います。ここからは、企業の規模をベンチャーなどの小規模企業と、社員数数百人以上の大企業に分けて、それぞれの仕事に求められる価値観の傾向や、デザイナーとして入社するときに気をつけておいたほうがいいことを解説します。
ベンチャーなどの小規模の企業で働くメリットと注意点
社員数・企業規模が小さい会社やベンチャー企業で働くことのメリットとしてよく挙げられるのは、やはりフットワークの軽さや自由度の高さといった点です。一般的にも広く言われている通り、実際に小規模な組織においては、仕事のやり方を個人の裁量で決めることができる機会が多い印象です。というのも、比較的小規模な企業ではマニュアルなどが整備されきっていないことが多いため、決められたやり方や業務フローが揃っておらず、自分のやりやすい方法で業務を進めていけるからです。
デザイナーやクリエイターであれば、服装や出社時間などもそれほど厳しく言われることは少ないでしょう。もちろん、仕事で成果をきちんと出しているということが前提になりますが、しっかりと働いていれば、どのような働き方をしてもある程度は許容してくれます。特に、ある程度経験のあるデザイナーの場合、自分にとって効率的な働き方や仕事のやり方をすでに確立していることも多く、企業のやり方に合わせるために無理に仕事に対するスタンスを変える必要がないという点はとても魅力的です。
ただし、自由度が高い分、教育体制や指導などのマニュアルが定まっていないという側面もありますので、経験の浅いデザイナーやクリエイターで、仕事を一から細かく教えてもらいたいという人にとっては少し注意が必要になってきます。少数精鋭の組織で働くデザイナーは、いわゆる「職人気質」な人が多いため、上司や先輩の働き方を見て自分で学べる人でないと、苦労するかもしれません。
小規模企業で働くときには、もう一つ注意しておいた方がいいこともあります。それは「関わる人の人数が少ないため、自分に合わない企業に入ってしまった時にそのまま働き続けることが難しくなる」という部分です。もし入社先の企業規模が大きければ、自分に合わない人やチームと関わることになっても、部署の移籍やプロジェクト変更など、その会社に勤めながら環境を変える方法を見つけることはできます。しかし、小規模な企業では常に特定の人と顔を合わせて働かなければいけないので、どうしても苦手な人が同じ企業にいたときのリスクは大きくなってきます。小規模な企業への入社を決める時には、最低でも自分の上司に当たる人や、先輩などと上手くやっていけそうかどうかをきちんと確認しておきましょう。
大きな規模の企業で働くメリットと注意点
いわゆる大手企業と呼ばれる大規模な会社で働くことのメリットとして多くの人が挙げるのは、「会社制度が整っているから安心して働くことができる」という点でしょう。また、デザイナーやクリエイターであれば、小規模な会社ではなかなか携わることのできない、大きなプロジェクトに関わることができるというところも魅力的な部分です。多くの人が感じている通り、実際に大手と呼ばれるような企業では労働環境がきちんと整備されていますし、会社制度が充実しているので、安心感を持って働くことができます。
未経験からデザイナーになった人や、まだ経験の浅いクリエイターにとっては、教育・研修などが存在し、仕事のやり方を教えてくれる先輩や上司がいるという部分もメリットで、新しい仕事であってもスムーズに仕事を進めていくことができるでしょう。加えて、組織が大きいだけあって、もし最初は自分に合わないチームやプロジェクトに配属されてしまったとしても、他のチームに移動したり次回からは別のプロジェクトに配置してもらうなど、入社後に自分が働く環境を、ある程度は状況を見ながら選ぶことができるというのも、安心して入社を決めることができる部分です。
このように、多くの人にとって「安心感がある」という理由で選ばれやすい大規模の企業ですが、必ずしも全ての人にとって働きやすいと感じられるわけではないというのが私の意見です。例えば、企業ごとのルールが厳密に決まっていることが多いので、些細な稟議を一つ通すだけでも苦労したり、企業の求めるやり方で仕事を進めない限りどれだけ成果を出しても評価されなかったりといった問題にも直面します。こういった部分は、仕事に効率を求めるタイプの人にとっては、どうしても無意味に感じてしまう点でしょう。
また、大きな企業は企業ごとに決まりやルールが決まっていることが多いため、それまでの会社でやってきたやり方や価値観が転職先の会社とは全く違うということも起こりやすい側面があります。大きな企業の考え方や価値観を社員一人で変えることは難しいので、もしもデザインやクリエイティブに力を入れていない企業に入社してしまうと、デザイン業務用のパソコンを支給されなかったり、デザインツールの使用を制限されたりと、作業環境を整えるところから始めなければいけないことも。組織が大きい分、申請を通すのにも時間がかかる側面があり、実際に「デザインツールのアカウントを一つ取得するために数年かかった」なんてこともありました。
クリエイティブに理解のある会社に入社するのであれば、こういったことは頻繁に頻繁に起こる問題ではありませんが、入社前には作業環境や利用ツールなどを念入りに確認しておくことをお勧めします。
まとめ:自分の仕事のスタイルにあった企業を選ぶために、転職活動時にはきちんと企業規模をチェックしよう
いかがでしたでしょうか。
デザイナーやクリエーターの転職では軽視されやすい企業の規模ですが、会社の大きさや組織の規模によって、求められる価値観や働き方は変わってきます。企業によって個性や特徴は違いますが、組織の大きさによって自分がどのような働き方をすれば評価されるのかということをイメージしてみることで、自分の仕事のスタイルがどのような企業で働くのにマッチしているのかを確認することもできます。機動力があって自由度が高いベンチャー企業に入社した方が働きやすいと感じるのか、制度が整っていて安心感のある大手企業に入社した方が働きやすいと感じるのかは人それぞれですが、自分の仕事に対する考え方にマッチした企業に入社して、後悔のない転職活動を行えるように、あらかじめ企業の規模をチェックしておくことをおすすめします。
本記事でご紹介した内容を一つの企業選びの指標にして、心から入って良かったと思える企業を見つけてみてくださいね。
この記事を書いた人 : que
新卒で入社したのはシステム開発会社ですが、デザイナーになることを諦めきれず、未経験でデザイン制作会社に入社。その後、ベンチャー企業のアプリ開発や大手サービスのインハウスデザイナーなど、様々な仕事を経験して今に至ります。私自身は働きやすさやその企業が自分に合うか?というところを重視して転職を行なってきましたが、抽象度が高すぎてなかなか満足のいく企業を見つけるのに苦労しました。そういった経験の中で、企業や組織の規模が働きやすさに影響すると感じる点をいくつか見つけることもできましたので、本記事ではそれをご紹介します。